Sound Of Silence -reports from darkroom by M.Niijima-

Saturday, October 23, 2004

渋谷写真

今日、地震が起きたとき僕は(東京)渋谷のあるマンションの1室にいました。コンクリート建ての3階でしたがけっこう揺れました。義妹が震源に近い長野県北部に居るので心配でしたが、どうやら被害はなく無事のようでした。ほっと一安心。
しかし震源近くでは大きな被害が出ているようですね。お見舞い申し上げます。

渋谷にいたのは仕事の打合せがあったからなのですが、その帰りにおもしろい写真展を見ました。
駅ビルとしての機能を持つ東急百貨店東横店は、建物自体が古いことと、JR、私鉄2路線、地下鉄が縦横に貫いており、とても複雑な構造をしています。売場と売場が駅によってあちこちに分断させられているのです。そんな売場同士をつなぐ通路で、その写真展は開催されていました。もちろん受付けもなにもなく、通りすがる人達がチラっと観る程度の展示の仕方です。
でも内容がとてもおもしろかったので、じっくりと観てみました。

通路の片側は、渋谷という街を歴史を追って見せています。最初は安藤広重の浮世絵を複写した写真(笑)。すなわち江戸時代から始まり、明治大正期、昭和初期、戦中戦後期、高度成長期から現在まで。
僕は(昭和40年生まれで、45年までの)幼少期を渋谷区鉢山町というところで過ごしたので、おぼろげながら、そのころ(西暦で言うと1960年代後半)の渋谷の姿を記憶しているのですが、その姿さえ現在の姿にかなり近いものなんだって、認識を新たにしました。140年超の変遷に比べたらそりゃそうですよね。

さて通路のもう片側では、今日の渋谷の姿がカラーとモノクロで展示してありました。撮影したのは現役の写真専門学校生(日本写真芸術専門学校だそうです)。専門学校生ですから、中には社会人を経験してからの入学ってこともありますが、基本的には若い世代の人達ですよね。彼ら彼女らがどんな目線で渋谷を撮っているのだろうって、とても興味をもって観ていったのですが、けっこうステレオ・タイプでじじくさいイメージの渋谷ばかりが目立っていました。すなわちファッションを中心とした若い人たちの文化だとか、ヒューマン・トラフィック、眠らない街、なんてテーマです。
こういった渋谷って散々見せられているので、おもしろくもなんともないんですよね。渋谷はありとあらゆるメディアで語られてしまっていますから、写真作品として鮮度の高いものを写すのはけっこうたいへんだと思います。

そんな中で、いい写真を撮っている学生さんは4名位いまして(これらを編さんされた方も見抜いていたようで)、各々一人複数点展示されていました。(残りの人は参加賞程度でひとり1点づつ)その中でも2名の写真が、僕の心にも響いてきました。
1人目は誰もがイメージする「渋谷」という『街』の直ぐ裏にある「渋谷区松涛」という『町』をテーマにしたもの。この辺りは昔から閑静なところで、6点展示された中で1点を除き、人を画面から排除することで、ありきたりの渋谷のイメージのアンチになっており、かつここも渋谷であることを表現できていて、とても感心しました。
もう1人は、お名前から判断するに台湾、中国か、韓国の方(アルファベット表記からだと韓国人名のような気がします)。外国人の視線だからでしょうか、若い連中で溢れる街中の老夫婦を捉えた作品。そしてデパ地下で大声を掛けてお客を呼びこむ販売員を写した作品が目を惹きました。渋谷=商売の街でもあるというテーマを写したのはコレ1点のみ。けっこう目から鱗。新鮮な写真でした。

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