Sound Of Silence -reports from darkroom by M.Niijima-

Friday, January 21, 2005

EXISTENCE

前回、ピアニスト野本晴美さんについて書きましたが、最近ピアノ・トリオによる演奏がとても気に入っています。あくまで僕の(現在の)好みの問題ですが、トランペットやサックスなど(ジャズにはかかせない)管楽器が入ってくると、エモーショナルな部分とかが邪魔に聴こえてしまうんです。それと管楽器ってあくまで単旋律楽器であり、音楽を和声的に捉えた場合、管一人では為しえないことになります。(だから管楽器+ベース+ドラムというトリオは存在せず、和声をサポートできるピアノまたはギターが加わり4重奏以上のグループになる。)もちろんそれぞれの管楽器の音色、その美しさや熱さ、力強さ、そして柔らかさなどはたいへん魅力的なものでありますが、楽曲の構造、和声の流れのなかで重層的に展開されるピアノという楽器の発展性みたいなものに惹かれているのかなと思うのです。

さて、そんな僕の現在の好みを代表する演奏があります。ジャズ・ピアニスト白崎彩子さんのCD「EXISTENCE (What'sNew Records / WNCJ-2124)」。
白崎さんは現在ニューヨーク在住で現地のライブハウスを中心に活動をされているのですが、半年ごとに帰国され、1ヶ月ほどかけて都内を中心に国内ライブハウス・ツアーをされておりますが、僕はまだ彼女のライブ未体験なのです。
このCDは2003年夏にリリースされたのですが、昨年春の来日の際、共演される方から彼女のピアノはすばらしいよと教えられ、ライブには是非と言われていたのですが、生憎日程が合わなかったためこのCDだけ買いました。また8月から9月に掛けて来日した際も日程が合わなくてほんとうに残念に思っていたのです。
このCDは僕が昨年一番聴きこんだ作品。まず1曲目テナーサックスの大御所ソニー・ロリンズの有名曲「Airegin」のかっこいいテーマで始まり、もの凄いアドリブが展開されます。この傾向では白崎さんオリジナルの7曲目アルバム・タイトル曲「Existence」も凄い。超速弾きの中でもダイナミクスの変化に富み、また速弾きフレーズを和音で弾いたりと、その演奏能力と発想力の高さに圧倒されます。またテーマの最中にあっての左手分散和音の動き(Airegin)が、音楽としての響きの美しさ、厚さを増します。その究極は3曲目レニー・トリスターノの曲「Lennie's Pennies」。この曲のテーマ部の両手の動きには毎回震えがきます。1つのメロディが何層にも存在しているような不思議さ、アドリブ部に入っても寄せては返す波のような効果を与え続けます。そしてドラム、ベースの繰り出すグルーブの素晴らしさ(ドラムは名手ルイス・ナッシュ!)。またバラードでは6曲目「Far Away」の美しさが際立ちます。
もしかしたら古今の東西を問わず、僕が聴いたジャズのCDの中でもベストのものではないでしょうか。うん、自身をもって凄いよ、素晴らしいよ、と言える作品です。
白崎さんはネオ・バド・パウエル(<--参考)と呼ばれるだけあり、確かな演奏能力を備えています(僕の大好きなバド・パウエルですが、彼女はそのパウエルさえ超えてしまっているかも!)。ライブハウス・デビューはなんと中学生のときで、新宿Jにはレギュラー出演していたそうです。その後クラシックを再度勉強するためにライブハウスから離れましたが、大学卒業後にジャズ・シーンに戻ってきたとのこと。

この白崎さんが2月にまた帰ってきます。今回は是非生ライブを拝見したいです。今の僕にとって白崎さんはアイドルなんです。

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