Sound Of Silence -reports from darkroom by M.Niijima-

Sunday, April 10, 2005

Duet by two individuality

友人のクラシック・ギタリスト、明石現さんのコンサートへ。満開の桜の時期をよいお天気続きで迎えた今年の首都圏ですが、今日のこの天気を最後に明日からは崩れるとのこと。
会場は自由が丘美術館。オーナーのプライベート・コレクションと思われる美術作品は16世紀を中心にペン画、チョークなどシンプルな画材で描かれた洋画そして版画。それらを背景にクラシック音楽に浸れる極上の空間です。
本日のプログラムは同じくギタリスト、竹内永和さんとの2重奏コンサート。
竹内さんは演奏家としてのキャリアだけでなく、ギター編曲家としても世界にその名を馳せる実力者。ギター編曲といえば、日本の20世紀現代音楽の第1人者であった武満徹さんが有名で、数々のギターのための作品、そして他の楽器のために書かれた楽曲のギター編曲をされています。その中にはビートルズの楽曲をクラシック・ギター用に編曲したものもあり、数多くのギタリストによって演奏されています。竹内さんもビートルズの編曲をされており、スウェーデン人、G・セルシェルに提供しているほど。
今日は昼、夜、2部入れ替え制で、僕は夜の部のチケットを持っていたのですが、昼の部終了した午後4時ちょうどに現地入り。明石さんとは家族ぐるみでお付き合いをさせていただいており、うちの家内と娘の顔を久しぶりに見せようと思ってのこと。娘はまだコンサート無理ですからね。
そしてこの時間から、宣材用などのフォト・セッションがあるとのことで、それに便乗したのです。今回は6X6で撮ってみました。

さてコンサート夜の部は午後6時にスタート。まずは2重奏。20世紀前半に活躍したブラジル人作曲家H.ヴィラ=ロボスの「フランセットとピア」という組曲。ピアがフランスにやってくる。フランセットに出会い、話しかけ、ともに遊ぶ、ピアは戦争にいき、そして戻る、というストーリーだての組曲。まるで道化のマイムをみているかのような楽しい音楽。あの時代にこんな自由で明るい音楽が作られたなんて信じられない。
続いて武満徹さんの映画音楽から2曲。「ヒロシマという名の少年」哀愁のあるテーマが表現豊かな武満編曲でとても魅力的。ギターという楽器を知り尽くした作者による極上の2重奏。次の「不良少年」もそうなのですが、シンプルなサウンドのなかで想像力が広がる広がる。そしてきっと映画の中で奏でられても主張しすぎず、映像をきちんとサポートするんだろうなぁ。
次に明石さんのソロとなり、イタリアの現代作曲家C・ドメニコーニによる「トルコ民謡集」。明石さんはドメニコーニの「コユンババ」という難曲をレパートリーにしているのですが、この民謡集は初めて聴きます。題材に採った民謡の原曲はどんなものなのでしょうか、イスラム風な旋律を感じられたのは最後の曲だけで、どちらかというとジプシー風なのでしょうか? それもドメニコーニの手にかかると土着的な臭さとモダンな和音があわさって、まるで新たな息を吹き込まれたような楽曲になっています。明石さんの演奏も、リラックスしていて心地よいなぁ。
休憩を挟んで、次は竹内さんのソロ。なんと「ブラックオルフェ」「オルフェのサンバ」「宇宙飛行士」「マシュ・ケ・ナーダ」とボサノヴァの名曲を聴かせてくれました。僕がよく聴くジャズ・ミュージシャンによるボサノヴァとは違い、素直な解釈でブラジルの音楽を表現されていました。
2重奏に戻りフレデリック・ハンドの「祈り」、そして映画ニュー・シネマ・パラダイスのサントラから4曲を組曲にした竹内編曲が光る演奏。そして竹内さんの弾くメロディ、1音1音の強弱のコントロールが素晴らしく、美しいメロディを「聴かせる」演奏。そしてヴィブラートがかつて聴いたギタリストの誰よりも美しく響き、たいへん感動しました。
お二人とも国内のプロフェッショナルな職人さんの手による楽器を使用されているのですが、それぞれの職人さんの個性が、それぞれの演奏個性にたいへんマッチした楽器で、竹内さんの野太く、かつ和音バランスのよい楽器、明石さんの倍音の多い艶やかな楽器と、2つの個性を楽しむこともできました。

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