Sound Of Silence -reports from darkroom by M.Niijima-

Friday, December 09, 2005

please let me cry

今年の9月、友人のソプラノ歌手・加藤修子さんのCDレコーディングにスタッフとして参加しました。もちろんCDという商品に仕上げるためには、収録後にも様々な作業があります。またジャケットなどの印刷物のデザインから始まり、印刷、CDのプレスとパッケージングなど多くの行程を経て、商品として完成させます。
昨夜そのCDリリース記念のコンサートが催されましたので拝見拝聴してきました。
素敵なワインレッドのドレスを纏った彼女。CDではルネッサンスからバロック期のほんとうに素敵なメロディを持った曲を歌っているのですが、もちろんこのコンサートもCDで歌った曲全て+アルファを聴かせてくださいました。彼女のアプローチはこの300年、400年前の楽曲を、アカデミックなものとして捉えるのではなく、シェクスピアの時代のヒットソング、バッハが夫人に贈ったラブソングなど、とても解りやすい。そしてこのような捉え方、表現の仕方に、僕はたいへん共感を覚えます。
さらには加藤さんのプロフェッショナルイズムといいましょうか、自らの表現のために日常を徹して行っている努力。歌うための身体づくり。これには本当に頭が下がります。素晴らしい音楽はフィジカルな肉体からしか発し得ないと常々僕は思っているのですが、まさにそのことを証明するような加藤さんの歌唱。ほんとうに素晴らしいことです。
CDでの演奏、歌唱は、繰り返し聴くことができる、というCDの性格を踏まえて、安定した表現を求め、かたちにしていったのですが、昨夜はライブ。よりダイナミクスのある表現に、例えばヘンリー・パーセルのオペラ「インドの女王」から「I attempt from love's sickness to fly in vain」や同じくオペラ「ディドとイニアス」からの「悲しみのディド」などがたいへん素晴らしかったです。またどの曲も伴奏ギターの譜が素晴らしく、ソプラノとともに歌い、踊り、嘆き、悲しむ表情を、僕に加藤さんを引き合わせてくださった友人、明石現さんのリュート調律が可能な11弦のギターと、19世紀製の6弦ギターによって奏でられました。
そして第2部最後に歌ったヘンデルのオペラ「リナルド」からの超有名なアリア「Lascia ch'io pianga(私を泣かせてください)」からアンコール(でなんと!)平原綾香さんの「明日」を披露し、会場からはすすり泣くお客さんもいらっしゃるほど、素敵な歌を聴かせていただきました。
そしてこのコンサートは加藤さんが長年続けていらっしゃる南アフリカへの援助を目的としたチャリティでもあり、同時に今回は先日の地震によって大きな被害をもたらされたパキスタンへもあるルートを通じて収益金の一部を送られるとのことです。

CD「shuko / tears」は今のところ彼女のコンサート会場での手売りのみですが、ご興味のある方は僕までご連絡ください。 info[at]mniijima[dot]com([at]を@に、[dot]を.に変換してください。)

収録曲
1. I will give my love an apple / 恋人にあげる林檎(イギリス民謡)
2. Music for a while / しばし楽の音に(H.パーセル)
3. I attempt from love's sickness to fly / 逃げられない恋の病(H.パーセル)
4. I saw my lady weep / 恋人が泣くのを見た(J.ダウランド)
5. Come again! / カム アゲイン(J.ダウランド)
6. Dido's lament / 悲しみのディド(H.パーセル)
7. Wie wohl ist mir / 幸せのうた(J.S.バッハ)
8. Bist du bei mir / あなたのそばに(J.S.バッハ)
9. Lascia ch'io pianga / 私を泣かせて下さい(G.F.ヘンデル)

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