Sound Of Silence -reports from darkroom by M.Niijima-

Wednesday, March 29, 2006

a dreamlike unmelted snow pattern, vol.2

前回の続きです。)
プリント作業ではハイライトや氷化した部分のガリガリがよくでたパーセプトルで現像したネガから夢幻を描こうと決めました。そして現像液は軟調現像液を使うことにしました。かつ色調が茶系に傾いてくれればなお嬉しい。現実感を消したかったのです。軟調現像液の代表的なものにANSCO 120、同等商品ではコダック・セレクトールソフトがありますが、今回調合したのはAGFA 105というもの。アルカリ剤に炭酸カリウムを使っているところが茶系に傾きそうだったので。そして全体の濃度とコントラストのバランスをとるためD-72も用意しておくことに。
紙はILFORD MGIV FBとFORTEポリウォームトーンを用意。
まずイルフォでは茶系に傾きませんでした。(もしかすると、さらに希釈したりカブリ防止剤の量を増量したりすれば茶系になるのかも知れませんが、もともと溶解する薬品量がかなり少ない処方ですのでどうなのでしょうかね。原液使用でも希釈したANSCO 120みたいなバランスなんですよね。今度機会があったら試してみます。)
そこで紙を温黒のフォルテに変えテスト。AGFA 105でやんわりとしたトーンと茶系に若干オリーブグリーンが混ざったようなフォルテらしい変な色調。現実感が失われてきました。ミッドからハイライトの感じがとてもいい。ところがこのAGFA 105だけではシャドウ濃度がちぃーっとも上がってくれません。そこでD-72を第2浴目に使い濃度アップを図りました。これは正解で、ミッド以上のトーンバランスがAGFA 105の特徴をほぼ保持したまま余り崩さずにシャドウ濃度をアップすることができました。このD-72は標準的な1対2希釈よりも濃い、1対1希釈にしています。第1浴、第2浴の時間はイーブン。それぞれ2分づつ現像。また露光は00号フィルターと5号フィルターでのスプリットグレード式で、それぞれのフィルターでの露光時間がこれもイーブンになる条件で焼き、さらにプレフラッシュを加えています。
因みにテストピースを作成した後、それを即電子レンジで乾燥させドライダウン後の濃度を目視して作業を進めています。

再度イルフォでも試みることに。先のフォルテで今回の軟調夢幻模様が出来上がりましたので、全く別のイメージで焼くことにしました。イルフォの扱いやすさは露光をプレフラッシュ+2.5号フィルターだけで済ますことができ、かつ現像2浴目もフォルテの半分で充分な濃度を得ることができました。こちらは狙い通り力強いイメージとなりました。これは意義のあるテストだったと思います。今回の作品としては意図にマッチしない絵柄ですが、他の様々なシーンで個性的な絵が得られるでしょう。おそらく僕のプリントを何枚かご覧になられている方々は、こちらこそNiijimaっぽいと思われるかも知れませんね。
ということで、このイルフォードのFB紙によるプリントも参考としてアップします。



・参考プリント

「夢幻残雪模様」と同一ネガより、
紙:ILFORD MGIV FB(多階調、グロッシー)
集散光式引伸機、プレフラッシュ + 2.5号フィルター
現像:AGFA105(原液、2分)+ D-72(1:1、1分)2浴現像

Monday, March 27, 2006

a dreamlike unmelted snow pattern, vol.1



第2回グループプリントエクスチェンジ参加作品

タイトル「夢幻残雪模様」

カメラ:Nikon new FM-2. Nikkor 50mm F1.4
フィルム:Fuji Neopan100ACROS, EI50
現像:ILFORD PERCEPTOL(1:3希釈)最小攪拌、24度C、10分

紙:FORTE POLYWARMTONE(FB、多階調、グロッシー)
集散光式引伸機、プレフラッシュ + スプリットグレードプリント
現像:AGFA105(原液、2分)+ D-72(1:1希釈、2分)2浴現像


今冬の首都圏、積もるほどの雪は1度しか降りませんでした。多くの被害を伴った豪雪地の方々が羨むような冬でありました。そのただ一度積った雪が日ごと溶けてゆく様を見ながら、東京の残雪って汚ねえなぁ、と感じたのが今回の写真を撮った動機です。車道や人がよく行き来するところは、それこそあっという間に雪の痕跡などなくなってしまいます。ところが路地裏や建物と建物の間、歩道の隅などには溶けきらない雪が残り、場所によっては車の排ガスなどで表面は黒ずみ、またある場所は踏みつけられ、そして夜間の冷え込みで氷化している。これは地域性と造形性を併せ持つ写真の被写体として成立するなと思いました。
撮影は会社近所の遊歩道。人が歩くところの石材のブロックとその脇の本来ならば土が見える場所の境をポイントとして選びました。踏み固められ氷化し、かつ割れ目が見える。そして踏まれていないところも元々サクサクしていたものが数日経ってガリガリになっている、また撮影時の陽の明かりで溶けているところ。それらがワンフレームに収まる場所です。遅めの昼休み、午後2時ごろ、1月の太陽はもう大きく傾き始めている時間帯です。氷化した部分の割れ目は、斜めから差し込む陽光でエッジにいい感じの影を描いていました。
フォーラムでもご指摘があったのであちらには書きましたが、カメラは45度くらい傾け三脚にセット。手前側は絞っても深度外になってしまいますが、段階露光して撮影。それを2組作成しました。ちょうどその頃、PC-TEA現像液とイルフォード・パーセプトル現像液でのテストを繰り返していたからです。
それぞれで現像したネガは、その後まず16X20の小全紙でストレート焼きしています。でっかいプルーフプリントですね。これは別のネガと合わせて、それぞれの現像液の感じを掴みたかったからです。そしてパーセプトルのほうがガリガリした感じがよくでており、この残雪には合っているなと思いました。PC-TEAのほうはもっときめ細かい感じです。
さて、この写真を作品とするためにどのようなアプローチをするか、そのでっかいプルーフを見ながら、この段になって考え始めました。そのころは、この都心の残雪はおもしろいぞと、この撮影をシリーズ化しようと決めていましたので、また雪が降らないかなぁと日々悶々としておりました。結局この冬は以降、ちらつく程度の降雪はあったけれども、積るほどの機会は一度もありませんでした。降雪の渇望はまさに夢に見るほど(笑)。そして次回の撮影イメージを思い浮かべたりする中で、夢幻という言葉が浮かんだのです。
(続く)

Sunday, March 26, 2006

an innocent intention or a calculating intention

1枚の写真による感動から、多くのことを考えることがあります。
おそらくその撮影者にとっては肩の力を抜いて撮った1枚。しかし被写体が示したかたち、すなわちレリーズタイミング。作品の構図。そしてその先の物語。全てが揃った写真。そこに美しい階調とか、ヴィヴィッドな色彩が伴っていなくとも、僕は作者の意図に惹き込まれてしまいます。なにげなく撮ったのです。そんな言葉が聞こえてくるかも知れません。しかしその写真はまったくの素人写真とは大きく隔たった視線により捉えられたものと断言できます。ただ鑑賞者がここまで惹き込まれる力を持った写真であることをその作者は知らなかったのかも知れません。あるいは鑑賞者に対し謙っていらっしゃるのかも知れません。いづれにしろ、その光景を目にし、ファインダーを覗いてシャッターを切った作者の行為にはピュアな撮影意図があったはずだと思うのです。もっと言うなれば、被写体に対する愛。

そのようなピュアな視線を羨みながら、今日も打算でいっぱいの写真を撮ってきました。それが功を奏して、こちらのガイドに沿って、鑑賞者が罠に陥ってくれれば、この確信犯的写真も報われるのですが...果たしていかがなものでしょうか?

先日、第2回グループプリントエクスチェンジのためのプリントを同グループの方々へ発送しました。

Wednesday, March 22, 2006

the crisis of the azure plastic buckets

先日、青山のギャラリーJyに行きました。ヒットオンに置いてあった写真展DMの葉書に印刷された1枚の写真に惹かれてのことです。3名の作家さんによるグループ展であったのですが、そのうちのお一方の作品でした。
DM葉書に写っていたものは、絞った雑巾、傘数本、石油缶、ブリキの如雨露。それらがスリット入りのシャッターから漏れる光に晒されていたのです。展示では6、7点でしょうか、どこかの飲食店なのか、なんらかの店舗の裏側。その光景にかなり近づきエッセンスのみを切りとる。その最後にDM用のカット。それはその店舗の物置なのでしょうか? とても素敵な光でした。
そして4月には、その作家さんの個展も同ギャラリーで催されることを知りました。
個展用の葉書のカットにはゴミ出し用のポリバケツふたつ。

Monday, March 13, 2006

hmm...

土曜、娘が牧場に往きたいと言うので横浜市の「こどもの国」へ。小規模な牧場が園内にあるのですが、どうやらそのエリアのみ某乳製品メーカーが運営されているようです。久しぶりにネオパン400を詰めたので高感度フィルムのスピードって楽だなぁ、と感じました。カメラも慣れきった一眼レフでしたので操作も素早くなります。まぁ、しょうもないファミリースナップですのでお気楽に撮っているんですけどね。それでもやはり僕はRFよりSLRのほうが合っているのかも。

ところで、ある実験をこの週末に行おうと計画していたのですが、実行できませんでした(とほほ...)。
行ったのは今月末までにプリントを発送しなければならない第2回グループプリントエクスチェンジ用の印画紙現像液を大量に調合溶解したこと。どの処方を調合したかは、まだ内緒(笑)。大量に、というのがヒントかも。
そして上記実験そのものは行えなかったのですが、専用の薬液だけは作っておきました。どんな結果になるか、とても楽しみなんですよ。

Wednesday, March 08, 2006

non-exposed

昨夜は先日購入したバライタ印画紙2種から、それぞれ1枚をひっぱり出し、定着処理。
引伸ばしプリントでのピント合わせは、引伸ばしレンズと印画紙の距離で決まるわけです。すなわち印画紙の厚さが変われば、合焦点も変わるというもの。
本番露光させる未感光の印画紙をセットする前に、ピントを合わせたり、像全体のイメージを掴んだりするために真っ白な印画紙を用いて本番時の代用をさせています。先に書いたようにピント合わせは紙の厚みに左右されるので、本番露光で使用する印画紙と同じ厚さの「真白印画紙」が必要になります。昨夜定着処理したのは、その準備用真白印画紙を得るためで、とあるブランド、モデルの印画紙を新規に使い始める場合、事前に用意しておく必要があるわけです。

僕は引伸ばしプリントを、レンタル暗室でおこなっておりますので扱いが簡単なRC印画紙の場合、プリント作業の前後にパッパと新しい印画紙の定着、水洗、乾燥を行い「真白印画紙」を作ることができるのですが、バライタ印画紙となるとそうもいきません。そこで今回新たに購入したILFORD MGFBとFORTE POLYWARMTONEの2種類の紙は自宅で「真白」化を行うことにしました。

完全暗室が無いので、家人が寝た後、洗面所の小スペースの照明を消し、さらに隣接する部屋も消灯。そのうえでダークバッグの中で新しいパッケージから印画紙を1枚だけ取り出します。暗黒にするのは、取り出さない印画紙への感光を避けるためです。そして印画紙を直接包んでいる黒ビニール袋および外装の紙パッケージの両方を厚いガムテープで厳重に封をした後、照明を点けます。
取り出した印画紙は感光させても大丈夫。「現像をしなければ現像されません」からね。
バット(100均で購入したトレイ)に定着液を張り、明室でスイスイと定着処理。そして5分間流水の中、2枚の印画紙を上にしたり下にしたり、充分に紙の表面が水と擦れるよう水洗します。そして水洗促進浴10分。この薬品にはフジ、イルフォード、コダック各社から市販品が出ていますが、今回は無水亜硫酸ナトリウム2%水溶液(注)で代用しました。溜めた水で軽くリンスした後、流水で10分間最終水洗を行い、白いアクリル板に貼りつけ水分をよく拭きとり乾燥へ。

今回この作業を自宅で行ったのは、単に真白印画紙を得るためだけではなく、今後印画処理済のプリントへのブリーチから、再現像、またはトーニングなどの作業を自宅で行うためのシュミレーションをする目的もありました。今回は8X10サイズの紙でしたが、ある程度のサイズ、11X14くらいまでは大丈夫かなぁ? それ以上の紙は自宅では難しそうですね。
反省点は、フラットニングに入る前に乾燥させ過ぎてしまいました。作業を遅くに始めたので水洗を終えたのが深夜0時過ぎ。3時までなんだかんだで起きていましたが、その段では印画紙の表面はまだベトついていたので、床に入ったのです。しかし今朝7時には紙はカリカリに乾いてしまっていました。いちおうスケッチブックに挟んで、圧をかけていますが、今夜もう一度濡らそうかな?

注:本記事をアップしたとき、水洗促進剤の無水亜硫酸ナトリウム水溶液の濃度を20%と記載しましたが、2%の誤りでしたので、書き替えました。

Tuesday, March 07, 2006

having stagnated

先週末を含む、ここ数日で行ったこと。
マイクロフェン・タイプの現像液を調合溶解。
バライタ印画紙を2種購入。それだけ...

Friday, March 03, 2006

Phenidone-TEA-plus

前回疑った現像液中のムラについて、酸化が原因という情報をいただきました。解決策として無水亜硫酸ナトリウムを少量溶解し、その水溶液にPhenidone-TEAを溶かすことにしました。これを勝手に名付けてフェニTEAプラス。亜硫酸ナトリウム量を水1リットルに対し20グラム。すなわち2%水溶液としてスタートすることに。で、溶解中に思ったのは、このフェニTEAプラスは薄いPOTAなんですね。POTAは亜硫酸ナトリウム3%溶液に1.5グラムのフェニドンですからね。
実際に溶いてみると水だけに溶いたフェニTEAのように赤く色付きません。POTAと同様な薄い肌色って感じです。処理温度まで冷ましても液中の濃度は均一に見えます。(先日POTAの使用液もムラが見えると書きましたが、錯覚かなぁ? 重箱の隅をつつき出すと全て懐疑的になるからなぁ)
で現像してみました。オリジナルPOTA処方で現像を行った際は、現像ムラとともにカブリが発生しましたが、フェニTEAプラスではどうでしょうか?
結果はPOTAと同様、カブリが発生し、現像ムラもしっかりあります。
さて、今後はどうしようかしらねぇ。
素直に一番最初にトライした希釈したマイクロフェンでのデータを詰めるのが早道かな?

Wednesday, March 01, 2006

a suspicion

このサイトを開設して2年が経過しました。たくさんの方々に支えられ続けてこられたことに自分でも驚いております。
今後銀塩写真は益々特別なものになってゆくのでしょうか? それでも感剤を手に入れられる限り、産みの苦しみを味わいながら写真を楽しみたいと思っております。

さて、ここのところトライしているミニコピーの現像テストにおいて、お!これは大発見かもしれんと躍起になったPhenidone-TEAですが、ある疑惑が浮上。あらためてPOTAも溶いてみて確認をしたのですが、フェニドン単用っていうのが現像ムラが起きる根源なのかも?

この画像は、そのPhenidone-TEA濃縮保存液を希釈して、処理温度まで下げたところをメスカップの上から撮っています。青い矢印をつけたところが解り易いと思いますが、濃いオレンジが糸をひくようになっているのが見えるかと思います。フェニドンは溶くとその溶剤をこのような色に染めるのですが、水溶液の中でこのような色の差、濃度差があるということは、希釈した水に充分混ざっていないということなのでしょう。もちろん70度の湯にPhenidone-TEA溶液を溶き、充分に攪拌しているのですが、温度を冷ます時間を経過すると、このような状態になっているのです。POTAも(染まり方がPhenidone-TEAほど濃くはでないので)判りづらいのですが、よーく目を凝らして見ると使用液中でイエローオレンジの濃度にばらつきがあるようです。フィルム現像中攪拌をしていないとき、このような偏りが発生すれば、それは現像ムラとなるでしょうね。
因みにフェニドンと併せて過生成を得るアスコルビン酸を加えたPC-TEA処方においては希釈後このような状態を見たことがありません。またミニコピーやコダック・テクニカルパンをD76やミクロファインで処理されている方々から現像ムラの情報があがってこなかったのはMQやM単用処方では、このような現像液そのもののムラがない。しかしフェニドン単用の場合は現像液中のムラが、そのままフィルム上のムラになるってことかしら?

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