Sound Of Silence -reports from darkroom by M.Niijima-

Friday, June 30, 2006

Study, Still life, Papaver dubium, May 06



静物の習作0601 -ナガミノヒナゲシ-

最近、春になると道端や空き地などで目にすることが多くなった花。薄い花びらに、ポピーを小型にしたような風体。ナガミノヒナゲシ(Papaver dubium)は気化雑草としてどんどん繁殖域を広げているそうです。その薄い花弁を透過光で撮ってみたいと思いました。近所の駐車場に咲いていたものを少し失敬してきて、自宅の窓際に配置、窓から入射する光だけで撮りました。
ピンと空に向かっていた花は部屋に連れてくると、頭を垂れ元気がなくなってしまいました。撮影後は水に挿したのですが、かなりお疲れのようで、その晩には、ひらっひらっと、花弁を一枚一枚落とし始めたため憐憫の情を覚えました。

Nikon newFM-2 with the Nikkor 50mm/F1.4
Fuji ACROS 100 @EI 50, dev in PC-TEA.
Ilford MGIV FB (Fiber based multi contrast paper, glossy), dev in Kodak Dectol.

Sunday, June 25, 2006

the calligraphic photography

決して克明に描出するタイプではないと思います。トーン・エリアをパッチワーク的に扱って構成する従来からのスタイルに加えて、新しくわが国で捉えた雪景、水景は、白に限りなく近いが、それでもきちんと粒子がトーンを出しているぎりぎりのハイライトに、ポンと置かれた木々や人工物の黒の対比が、極めて単純に象徴的に雪景水景というものを語っていると感じました。
終了間際になって、ようやっと写美でのマイケル・ケンナ展に足を運ぶことができました。
ここしばらくの日本での制作は、氏が枯淡の境地に至った時期として、記録に残されるかもしれません。
好事家は(日本での制作に絡めて)俳句、すなわち、たった17音に有相無相を凝縮させた音律世界に氏の表現の世界観を比較させるかもしれませんね。会場で流れていたビデオでは「白い紙に漢字を書くような」と氏は言い表していました。御前漢字書けるのかよ、と突っ込みたくなりましたが、書を認めるという行為にも通じるものがあるのかなぁ、と日本人でありながら曖昧な感覚でしか反応できない自分の拙劣さに嫌悪を抱きながら、マイケル・ケンナ的世界とは一切が合致しない東京恵比寿の消費空間を後にした湿度の高い梅雨期の午後でした。

Tuesday, June 20, 2006

a variation of eyes

譜面を追う。コンダクターを確認する。または宙を見つめ、音の世界に浸る。
オーケストラのリハーサル。楽団員はコンダクターを中心に扇型に広がり、それぞれの場所にて様々な表情を作り出す。ところで手や指先は基本的に彼ら彼女らの楽器を奏でるための動きに支配されるが、視線は意外と自由。
楽団員ひとりひとりにフォーカスをあてると、彼ら彼女らの様々な視線が見えてくる。まさに視線のヴァリエーション。変奏曲を奏でているかのようです。

精力的に個展を催されていらっしゃる写真家、池本さやかさんの 「パリのオーケストラ」--ポートレート編--を見ての感想です。
フランスからアンサンブル・オーケストラル・ド・パリが来日した折に、そのリハーサルを中心に楽団員を写した作品群。このオケとの出会いは池本さんのパリ留学時代だそうです。パリで知り合ったアーティスト同士が、東京で再会し、そしてパリで為していたようにシャッターを切ってゆく。それはとても素敵な時間であるように思えます。

会場は東京半蔵門のJCII地階、JCIIクラブ25、6月25日(日)まで。10:00-18:00。

Thursday, June 08, 2006

a practical visualization

茫漠と思い浮かべていた抽象的な観念が、具体的なイメージとして形成できつつあります。
ロケハンをしなければなりませんが、時間がとれないでいます。歯痒い...

Saturday, June 03, 2006

Motif in a work (vol.2)

昨年末から銀塩ウェットプロセス モノクロ写真フォーラムで開催されているグループ・プリント・エクスチェンジに参加しております。
参加者をグループ分けし、同グループになった複数人に自家処理した銀塩プリントを贈る。自分の手元にも同グループの方々からプリントが贈られ、他の写真愛好者のプリントを手元で拝見できる、たいへんおもしろく、刺激、勉強にもなる企画です。
過去2回の開催で、僕は「かえれない」という枯葉をモティーフにした作品、そして「夢幻残雪模様」をそのときそのときのグループの方々に贈らせていただきました。
これらは、ある時間経過の中で姿を変えてゆくモノが、特殊な変化を見せたり、生命の循環から外れてしまったりという都市や住宅地のなかではごく普通に目にする光景、姿に着目して制作した作品です。

ところで昨日の記事で触れました石元泰博氏の写真集「刻(とき) moment」を見て愕然としてしまいました。この写真集で扱われたモティーフは、(街を行き交う)人々をスローシャッターで撮ったもの、雲の一瞬の表情、移ろいゆく水面、ぺしゃんこになった空き缶、そしてアスファルトに落ちた枯葉や人々に踏まれた残雪、なのです。

これらのモティーフ、イメージは既に他人によって作品化されていたのか!という失意が僕を襲いました。もちろん石元氏の作品と自分のもの、そのクオリティを同列に扱うなどできません。技術的にはどうあがいても圧倒的な差があります。しかしそれでも全く違ったアプローチで(枯葉や残雪を)捉えない限りもうこれらをモティーフにする意味はないなと思いました。
最近絵画の世界での盗作をニュースで見ました(あれはホントにソックリですね)が、僕のケースでは全く同じような構図で撮っているわけではありませんし、違った写真と言えるでしょう。それでも時間経過という主題においては同一の写真なのです。あれを見てしまった以上、あれらのモティーフにはもうサヨナラです。残雪は面白いモティーフであり、シリーズ化を考えていたところなのでたいへん残念なことですが、仕方ないですね。それがモノ作りだと思っています。

石元氏がこの写真集で撮られた作品。特に残雪のものは是非プリントでも見てみたいなと思います。(終)

Thursday, June 01, 2006

Motif in a work (vol.1)

PGI (Photo Gallery International)に石元泰博作品展「On The Beach」を見にいきました。
石元氏といえばシカゴのストリートものもおもしろいのですが、僕にとっては「桂離宮」を撮った写真家として重要。建築物もひとつのテクスチュアと見なし、桂離宮にモダンデザインを見出したコンセプトと眼力はもちろん素晴らしいのですが、エドワード・ウェストンやアンセル・アダムスの作品以上に大判写真の威力というものをまざまざと感じたのです。
特に中坪の延石苔石を写した作品、そのプリントの前に立ったときの衝撃は忘れられません。

さて今回のPGIでの展示はミシガン湖のビーチで撮ったスナップを中心に、氏が1950年代に制作した「SUMMER SPECTACLE」のヴィンテージ・プリント、そしてそれらを発展させた「North Avenue Beach」シリーズを見ることができました。
デザインを本職とされたり、またはその勉強を修めた方の写真は、構図やレンズのパースの使い方が上手だと予予思っていたのですが、シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン、通称ニューバウハウスに学んだ氏もそれに漏れず、スナップでの構図も見ごたえがあります。しかし今回の展示では、日本で言うところの海の家みたいなところで、恐らくはドリンクなどを注文している客たちを背後から写した「North Avenue Beach」シリーズがもっとも面白かったです。

さて、そんなわけで石元熱にうなされついでに04年に出版された氏の最新写真集「刻(とき) moment」を都立図書館から取り寄せました。(続く)

追記:PGIさんでの石元泰博 作品展「On The Beach」は2006年5月25日(木)から6月30日(金)まで。
開館は 11:00 から 19:00 で、土・日・祝日 休館とのこと。

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