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シンプル現像/イルフォード方式のススメ (t050711a) 僕はフィルム現像を自宅で始めるにあたり、常用フィルムであったイルフォードが提供している資料を参考にしました。他の参考文献などに比べ、処理方法が詳しく、かつなぜそのような処理でよいのか、という点が明確でしたので採用しました。とくにイルフォード製のフィルムと、処理剤のマッチングに関して説得力のある書きっぷり(笑)でしたので、ユーザーとしてまんまとメーカーの思惑にハマっているかな? ところで、そのイルフォードが推奨する処理方法はたいへんシンプル。そこに自分なりの方法を加えながら自分にとってのスタンダードを確立することができましたので、ここでご紹介したいと思います。 僕はイルフォード製フィルムのほかにFuji Acros100, Prest400, Super-Prest1600 も使用していますが、イルフォードと同じ処理(もちろん現像処理時間はそれぞれのフィルムに合わせて)をしています。そのことで問題が起きたことは一度もありません。Kodak製はT-MAX P3200しか自家処理の経験はありませんが、これも同じ処理です。 フィルム現像の行程には器具や薬液の用意、フィルムのリールへの装填、水周りの温度管理などの前準備を済ませた以降、前浴、現像浴、停止浴、定着浴、水洗、乾燥という行程があります。さらにこのうち水洗においては定着浴後、予備水洗、水洗促進剤浴、本水洗、水滴防止剤浴など、その必要がある場合には行程を小区分することができますが、これらは定着剤の種類(後述)、水滴防止剤の使用の有無により変わってきます。 それでは僕が行っている「ほぼ」イルフォード方式を説明していきます。 薬液をメスカップに定量注ぎ、処理温度に調整するなど前準備をおこないます。 ・まず前浴はしません。 ・いきなり現像液浴。 ・停止浴は水による停止(イルフォードは酢酸使用を勧めています) ・定着液浴 ・水洗(水洗促進剤、水滴防止剤は使用していません) ・そして乾燥 と、行程はいたってシンプルです。 まず前浴。この行程はフィルム乳剤面を濡らしておくことで現像液注入後、液の反応を促す目的で行われるようですが、イルフォード方式ではこの行程は省きます。イルフォードのフィルム、データシートには「前浴は現像ムラの原因になりますのでおすすめできません」と書かれておりますので、僕は一度も行ったことがありません。(逆に前浴を毎回行っているけれど、それで現像ムラが起きたことは一度もない、という方もいらっしゃるかもしれませんが...) 現像液浴 ですので、いきなり現像液注入です。タンクのキャップを開け、どくどくと現像液を注入します。注入後タンクの底を硬いものにドンドンとあてて、フィルム面に付着しているかもしれない気泡を取り除いてやります。 そして攪拌。イルフォード方式では10秒間に4回の倒立攪拌を行います。そして静止。 これを毎分、あたまの10秒間に行っていきます。10秒間に4回攪拌というのは、けっこうゆっくりとした攪拌だと思います。僕は時計を見なくても4回振れば10秒経過しているくらい、このタイミングに慣れることができました。 処理時間終了(処理時間の開始と終了に関してには人それぞれの解釈が存在すると思います。僕はタンクに現像液を全て注入した段階で計時スタート。その後キャップをして気泡とりへ。そして135フィルム1本用タンクでは目標の終了時間10秒前から排出開始、2本用=120フィルム1本用では15秒前から排出開始しています。)で、現像液を排出し、停止浴に入ります。 停止液浴 停止浴は通常、希釈した酢酸(希釈率は製品おのおのの指示に従ってください)液でおこないます。イルフォードでは自社製のIN 1 ストップバスの使用を勧めていますが、僕は処理温度にマッチさせた「水道水」で行っています。酢酸を使用すれば一気に現像液のアルカリを酸性に持っていくことができ、現像力は失われます。が、どうしても臭い酢酸液。そこで水を使って現像力を薄めてしまえ、というコンセプトの作業です。30秒間連続攪拌(攪拌のタイミングは現像時と同じ10秒で4回、すなわち30秒間では12回の倒立攪拌となります。慣れてくれば時計を見ずともぴったりできるようになります。)。全ての水を排出。再びフレッシュな水を注入、同様に攪拌、排出、これをもう一回繰り返して、計3回行い、定着浴に移ります。 ここでTips。3セットの注入、攪拌、排出を素早く、効率よく行う方法(右利き用。左利きの人は下記処理法の左右逆にして読めばよいのかな)。定着液浴 僕はイルフォードが推奨するようにイルフォード・ハイパムフィクサーを使用しています。 これは迅速酸性無硬膜定着剤です。迅速=すなわち処理時間が早い。非硬膜=硬膜剤を使用していません(イルフォードはモダンなフィルムではフィルム乳剤に既に硬膜剤を添加しており、定着処理時にあえて硬膜剤を添加する必要はないと謳っています。しかしどうしても添加したい人のためにラピッド・ハーディナーという添加剤を用意していますが、僕は一度も購入したことがありません。) ハイパムフィクサーの処理時間は3分から5分となっておりますのでマックスの5分間処理しています。現像液浴同様、注入後、気泡取り、10秒間に4回の倒立攪拌、静止。毎時頭の1分ごと10秒間に4回の倒立攪拌を行い、まるまる5分経ってから排出します。 僕は毎回新液を使用しています。ある程度定期的に現像作業をしていますので液も常にフレッシュなうちに使い切ることになります。繰り返し使用の場合は処理本数のチェックを怠らないよう注意しましょう。 水洗 イルフォードが推奨する水洗方法はユニークです。定着液排出後、処理温度に近づけた水(水道水)を定量タンクに注ぎ、まず5回の連続攪拌。そして排出。 フレッシュな水を注ぎ、次に10回の連続攪拌、排出。 またフレッシュな水を注ぎ、20回の連続攪拌、排出。 というものです。どう?シンプルでしょ? ただしこれだけだと排出した水の色のピンクが取れきらない場合がありますので、僕はさらに20回の連続攪拌のセッションを1回、さらに最後のすすぎの意味で5回の連続攪拌を加えて終了しています。だいたい5分くらいで水洗行程を終了できます。そしてなんといっても使う水の量が違います。僕が自分なりに加えているセッションを含めてタンクの容量X5回分の水量で済んでしまうのです。 (ただしこの方法、ハイパムフィクサーのような無硬膜定着剤を使用した場合のみ適応。さらにKodak製フィルム、僕はT-MAX P3200しか自家処理の経験はありませんが、排出液のピンク色が抜けにくく、5回攪拌、10回攪拌、そして20回のセッション3回繰り返すことでピンク色を除去しました。) うちは小さい子供がいるので月々の水道代がバカにならず、この方式は、水道水垂れ流しで行う従来の水洗方式を環境面、コスト面で凌駕し、かつ処理する水の温度を現像処理温度に近づけておくことができ、現像、停止、定着、水洗と進行するなかでフィルムが浸かる液体の温度変化を最小に保つことができます。 その他の処理 まず迅速酸性無硬膜定着剤であるハイパムフィクサーを使用していることから水洗促進剤は必要ありません。 そしてフィルムを吊るし、乾燥開始の段にてスポンジで水滴を取り除いていますので水滴防止剤も使用しておりません。 上記の水洗処理を終えたら、フィルムをタンクから取り出し、乾燥させるために専用クリップに取り付け吊るします。 使用する薬品の種類が少なく(結果、現像液と定着液しか使っていない。)、各行程における液体の処理温度も季節に関係なくほぼ現像液と同一にできるこの方法、僕はかなり気に入っています。 是非お試しあれ! |
| (uploaded on July 11th, 05.) |